配線用遮断器と漏電遮断器の違いや選び方ついて分かりやすく紹介。

2024年6月15日

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配線用遮断器と漏電遮断器の違いや選び方について理解しているでしょうか?

この2つの違いを理解せずに選定をしてしまうとブレーカが遮断とならず、感電や火災などの原因となってしまいます。

そのようなことが起こらないよう動作や仕組みについてしっかり理解しておきましょう。

今回はこの配線用遮断器と漏電遮断器の違いや選び方についてわかりやすく紹介していきたいと思います。

⇒PLCやシーケンス制御、電気保全について私が実際使用して学んだものを『電気エンジニアが教える!技術を学べるおすすめ参考書』で紹介しているのでこちらもぜひご覧ください。

動画で確認したい方はこちら↓

配線用遮断器とは

配線用遮断器(MCCB、MCB、ブレーカ)とは回路に過電流が流れると電流を遮断して、回路や電線を保護する役割を持つ機器です。

【過電流が起こる原因】

・短絡(ショート)した場合

・許容電流値以上の負荷がかかった場合

短絡とは電線同士が触れる事です。
短絡でブレーカが落ちる例としては配線している場合などで間違って触れたり、あとは機器の故障により短絡する場合などが多いですね。
許容電流値以上の負荷で落ちる場合は同じコンセントにドライヤーと電子レンジなど2つ以上同時に使い、その許容電流値を超えた場合に落ちます。
なので同時に使用しても落ちないように最初にしっかりブレーカーの容量と電線の容量を計算して設置しないといけません。

参考記事:『電気の不具合でよく起こる短絡や地絡、漏電、の違いとは?』

漏電遮断器とは

漏電遮断器(ELCB、ELB、漏電ブレーカ)とは配線用遮断器にある過電流の遮断機能に加え、漏電を検知して遮断する役割を持つ機器です。

検知方法としては回路内の行きと帰りの電流値の差を検知して一定以上になった場合回路を遮断します。

原理としてはリーククランプメーターと同じですね。

関連記事:『クランプメータの使い方を電気エンジニアが使用例も交えて紹介』

漏電は感電や火災の原因となり最悪は命の危険もあります。ですのでこの感電リスクを最小限に抑える為、適切な箇所に漏電遮断器を必ず設置しなければいけません。

漏電遮断器は家庭用の分電盤に必ず取りついていますが、昔の古い家では漏電遮断器が設置されていない所もあります。
漏電していれば感電の恐れがあるのでよく確認した方がいいですよ。

参考記事:『アース(接地)線の役割とは?漏電遮断器を使用する場合必ず必要となる理由!』

漏電遮断器はどんな物を選定すればいいか

漏電遮断器は取り付ければいいと言う物ではありません。

その仕様にあった漏電遮断器を選定してくださいね。

【感度電流の種類】

・高感度形 5~30mA

・中感度形 50~1000mA

・低感度形 3~20A

【応答速度の種類】

・高速形 0.1s以内

・時延形 0.1~2s以内

・反限時形 0.3s以内(定格電流2倍で0.15s、定格電流5倍0.04s以内)

【高感度形・高速形】

・地格電流が発生した場合は即座に回路が遮断される為、感電防止用で使用する。

※分電盤の主幹に設置すると漏電が発生した場合分岐部分全体が停電するので注意。

【高感度形・時延形】

分電盤の主幹に設置して上位遮断器を順番に時延させる事で保護協調を確保する。

保護協調とは・・・受電設備にある回路に何らかの事故が発生した場合にその回路の保護機能が上位の保護機能が動作する前に動作して、正常な回路は生かしながらその事故が発生した回路だけを切り離すように保護具相互の保護特性を整定することを言う。

【中感度形・高速形】

・キュービクルの配線用遮断器の幹線保護などに使用する。

分岐側の高感度形では保護できない微小な漏洩電流が集中した場合、漏洩電流が高まる可能性がある。

【中感度形・時延形】

回路の容量が大きい場合の幹線保護などに使用する。

家庭用で使用している漏電遮断器は高感度・高速形を使用してますよ。
大体が30mA感度が設置してあります。

参考記事:『電線の種類やサイズの選び方!またブレーカ容量の決め方など詳しく説明!』

漏電遮断器を設置しなければいけない時は?

漏電遮断器を設置しなければならない箇所は法令で決められています。

【漏電遮断器の取付原則】

金属製外箱のある使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具であって、人が容易に触れるおそれがある場所に電気を供給する電路の必須条件。(金属製外箱とは冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などを言います。)

・取付例

①水気のある場所に施設する機器。

②プール用水中照明、フロアヒーティング、火薬庫

③住宅に施設する三相200V機器。

④屋外の自動販売機

・省略の例

①機器を乾燥した場所に施設する場合。

②対地電圧150V以下の機器を水気のある場所以外に施設する場合。

③機械器具に施したⅭ種接地工事またはD種接地工事の設置抵抗値が3Ω以下の場合。

④電気用品安全法の適用をうける二重絶縁構造の機器を使用する場合。

⑤機器がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆してある場合。

漏電遮断器が落ちていた場合の復帰方法

まず最初に漏電表示ボタン(黄色か白)が出ているか出ていないかを確認してください。

漏電表示が出ている場合は、漏電により保護機能が働き遮断していると言う事なのでメガー測定を行い漏電箇所を取り除いてください。

参考記事:『絶縁抵抗計(メガー)の使い方を実体験交えて詳しく説明』

取り除いた後は下記の手順で復帰さしてください。

・漏電表示が出ていない場合は過電流により落ちている可能性が高いので使用している電気器具を減らし、漏電遮断器のハンドルを下におろしてから再びONとしてください。

【注意点】

・漏電表示下のテストボタンで定期的に動作確認をしてください。よくテストボタンで間違いやすいのが電圧を印加していない状態でテストを行おうとする人がいますが、電圧をかけていない時は動作しません。『必ず電圧をかけている状態でテスト』を行ってください。

ちなみに分電盤の1次側のブレーカーが漏電で落ちている場合は、2次側のブレーカをすべてOFFにした状態にしておき1次側のブレーカを復帰させます。
次に2次側のブレーカーを1個づつONにしていき、落ちた箇所が漏電していると分かります。
なので分電盤の時や制御盤などで2次側にブレーカーがたくさんある場合は有効なので試してみてくださいね。

参考記事:『設備機械のモータで漏電遮断器が作動!メガーを使って原因の特定から復旧するまでの手順』

まとめ

漏電遮断器と配線用遮断器の違いはわかりましたでしょうか?

同じ漏電遮断器でも細かく種類が分かれているので感電防止用かまたは幹線防止用なのかを確認して使用用途に合わせて選定してくださいね。

また漏電表示が出ている場合は必ずどこかで漏電しているという事なのですぐには復旧せずに必ず原因を特定してから復旧するようにしましょう。

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