設備機械のモータで漏電遮断器が作動!メガーを使って原因の特定から復旧するまでの手順

2022年6月11日

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先日、いつものように修理依頼があり、現場に行くと、漏電遮断器が落ちていました。

この漏電遮断器が落ちているということはどこかしらから『電気が漏れている』ので絶対にそのまま漏電遮断器をONとしないようにしてください。

今回はこの漏電遮断器が作動した時は実際どのように原因を探り、復旧していくかなどを分かりやすく説明していきたいと思います。

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漏電遮断器が落ちていた時の状況説明

設備機械は下記のような機械のドリルで漏電遮断器が作動しました。

下記が漏電遮断器が発生した箇所となります。

【動作説明】

スタートボタンでドリルが移動して加工を行う機械。

【作動した時の状況説明】

ドリルが回転をして移動している時に漏電遮断器が作動した。

⇒漏電遮断器について知りたい方は『配線用遮断器と漏電遮断器の違いや選び方について分かりやすく紹介!』を参考にしてくださいね。

原因の特定方法

漏電遮断器が落ちていた時はまず、何が原因で漏電となったのかを見つけなければいけません。

【原因特定手順】

①端子台部分で絶縁抵抗(メガー)測定

②モータ部分の電線を取り外し、絶縁抵抗(メガー)測定

上記の順番にメガー測定を実施していきます。
まずは端子台でモータ側の電線を取り外してメガー測定を行い、下流のモータ部分上流部分の電線、または漏電遮断器かどうかの判断をします。
まー制御盤内での漏電はそんなにないとは思いますが、たまに漏電遮断器自体が壊れていて誤作動している場合もありますよ。
次にモータ部分の電線を取り外してモータか電線のどっちで漏電しているかの判断をします。
やり方などを順番に説明していきますね。

⇒メガーの測定方法については『絶縁抵抗計(メガー)の使い方を実体験交えて詳しく説明』を参考にしてくださいね。

①端子台部分で絶縁抵抗(メガー)測定

端子台部分で下記のように測定を行い、どの部分で漏電となっているか判断をします。

上記のように3ヶ所メガー測定を行い、下流部分と上流部分のどっちで漏電となっているかを判断します。
ちなみにメガー測定の場合は『直流電圧』をかけて漏れの確認をしているので必ずブレーカはOFFの状態にしてメガー測定してくださいね。

②モータ部分の配線を取り外し、絶縁抵抗(メガー)測定

モータ部分のメガー測定は下記のように電線を取り外して測定を行います。

モータ自体で漏電しているのか、電線で漏電しているのか判断をするために上記のように電線を外して測定を行います。
測定する場合は必ず端子と電線3ヶ所すべて測定するようにしてくださいね。

漏電遮断器が作動した原因

【絶縁抵抗計(メガー)測定結果】

①端子台部分で絶縁抵抗(メガー)測定結果・・・制御盤の外(下流部分)でメガー0MΩ(漏電)

②モータ部分の電線を取り外し、絶縁抵抗(メガー)測定結果・・・電線部分でメガー0MΩ(漏電)

この測定結果から分かるように『電線』で漏電していました。
注意点としてモータ側で漏電していて電線を外さずにメガー測定してモータが漏電と決めつけずに必ずモータの電線を外した状態でどっちが漏電しているのかを正確に確かめるようにしてください。
モータが漏電をする可能性が高い為、すぐにモータを交換する人がいますが、結果、余計に修理時間がかかってしまうので気をつけてくださいね。
一応下記に技術基準で定められている絶縁抵抗値を記載しておきます。
この値以上であれば正常なので参考にしてくださいね。

300V以下→対地電圧150V以下→0.1MΩ以上

300V以下→対地電圧150V超過→0.2MΩ以上

300超過→0.4MΩ以上

漏電箇所と対処方法

漏電箇所

下記のケーブルベア内に電線が入っていて、経年劣化により中の銅線が飛び出していてフレームに接触していました。

特に可動部となっているので余計に外の被覆が破れたのではないかと思います。

【対処方法】

電線が途中で破れていたので、モータ~制御盤内までの電線をすべて交換しました。

切縮めできるのであれば切縮めした方が、時間もかからずにいいのですが、今回はできなかったので交換となりました。

ちなみに電線途中で接続する場合は再び破損の原因にもなりますし、電線途中に接続点箇所を設ける場合はBOXに収めなければならないことになっているので気をつけてくださいね。

ですので今回は可動部のため途中接続はしない方がいいです。

まとめ

モータ部分が漏電した場合はこのような順番で対処していってくださいね。

焦らずに1個づつ確かめていけば原因は必ず分かります。

最初はなれないと思いますが、経験することで理解できると思いますよ。

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