エア(空気圧)シリンダの押す力と引く力は違う!?推力計算について

2023年11月24日

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エアシリンダでは同じ圧力でも押す力と引く力が違うのはご存じでしょうか。

このエアシリンダが押す力や引く力は推力(発生させる力)の計算により求められ、エアシリンダの径を選定する場合に知っておかなければいけません。

シリンダの径は負荷により違うので推力計算をして選定する必要があります。

今回はエアシリンダの押す力と引く力はなぜ違うのか!?また推力計算についても説明していきたいと思います。

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エアシリンダの推力について

推力とはエアーシリンダが発生させる力のことです。

計算方法としては下記の計算式で求めることができます。

単位は『ニュートン(N)』で表します。
ではシリンダ径50mm、ロッド径20mmのエアシリンダを圧力0.6MPaで使用した場合に上記で紹介した推力の計算式を使って押出し側の力と引込み側の力がどうなるか説明していきたいと思います。

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エアシリンダの押出し側

エアシリンダの押出し側の受圧面積はシリンダ内径Dとなるので前述で紹介した計算式で求めると下記のようになります。

エアシリンダの引込み側

エアシリンダの引込み側の受圧面積はピストンロッドの面積分だけ異なるのでシリンダの内径Dからロッド分dを引き、計算式は下記のようになります。

この結果から受圧面積がピストンのロッド分だけ小さくなるので引込み側の推力の方が弱くなっているのがわかるかと思います。
また、実際にはパッキンなどの摩擦抵抗があるので計算式で求めた理論推力より若干小さな値となります。

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シリンダ選定に負荷率が必要!?

実際のシリンダの径を選定する場合には負荷率を考えなければいけません。

負荷率とは負荷がどの程度作用しているかを比率で表したものをいい、下記の式となります。

『負荷率=シリンダに対する負荷(実際の負荷)/シリンダの理論推力』

式からもわかるように、負荷率が小さいほど余裕をもって動かすことができます。

この負荷率は使用の状態により変わります。

・クランプや圧入時⇒負荷率:70%

・水平使用(リニアガイド使用)⇒負荷率:100%

・垂直使用⇒負荷率:50%

例えば重量2000Nのワークを垂直に持ち上げる場合だと2000N/0.5=4000Nの理論推力が必要となります。

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まとめ

✔推力

・エアーシリンダが発生させる力

シリンダの理論推力(F)=ピストン受圧面積(A)×使用空気圧力(P)

✔引込み側より押出し側の方が強い

・受圧面積がピストンのロッド分だけ小さいため

✔負荷率

・負荷がどの程度作用しているかを比率で表したもの

・負荷率=シリンダに対する負荷(実際の負荷)/シリンダの理論推力

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Posted by ネバヤン