電線の種類やサイズの選び方!またブレーカ容量の決め方など詳しく説明!

2024年3月23日

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制御盤を組む時やモータなどを増設する場合は負荷に合わせて電線のサイズやブレーカを選定しなければいけません。

電線のサイズやブレーカ選定を間違えた場合は電線などが燃えてしまう可能性もあるのでとても重要です。

一度制御盤が真っ黒に焦げているのを見た事がありますが、制御盤がすべて使えなくなってしまいます。

こんな事にならないように今回は工場内で実際に使用されている電線の種類やサイズ、またブレーカ容量の決め方など詳しく説明していきたいと思います。

⇒シーケンス制御、電気保全、電気トラブルなどについて私が実際使用して学んだものを『電気エンジニアが教える!技術を学べるおすすめ参考書』で紹介しているのでこちらもぜひご覧ください。

電線の種類と許容電流

【許容電流】

電線やケーブルに流せる電流の最大値の事

【絶縁電線とケーブルの違い】

『絶縁電線』は絶縁体で被覆した電気導体、『ケーブル』は絶縁体で被覆し、さらに外装(シースと呼ばれます)で被覆した電気導体の事

【絶縁電線】

IV『ビニル絶縁電線』

屋内配線、盤内配線に広く使用されている。

※周囲温度30℃の場合

VSF『単心ビニルコード』

小型電気機器の配線および電源用に使用される。

※周囲温度30℃の場合

KIV『電気機器用ビニル絶縁電線』

600V以下の電気機器の配線や口出線に使用されるビニル絶縁電線で主に制御線および動力線で使用される。

※周囲温度30℃の場合

【ケーブル】

CV『架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル』

一般的な動力用として広く使用される。

低圧用(600V)、高圧用(6600V)がある。

※周囲温度40℃の場合

VVF『600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形』

600V以下の一般住宅、公共施設、商業施設など、様々な建物の屋内配線に使用される。

※周囲温度30℃の場合

VCTとVCTF『ビニルキャブタイヤケーブル』

VCTは交流600V以下、直流750V以下の移動用電気機器の電源回路の配線および制御回路用の配線として広く使用されている。

VCTFは300V以下で使用されていて、VCTと素材の違いはほとんどない。

※周囲温度30℃の場合

私が制御盤に配線をする場合は動力線に『KIV』を使って、制御線には『VSF』を使用しています。
そしてモータなどの外線に使用する時には『VCTF』、さらによく動かす部分には『VCT』、電源部分には『CV』など使用用途に合わせて使い分けないといけません。
あと注意点としてこの電流値は最大許容電流なので電線を選定する場合には安全率0.8は確保しておいてください。
なぜかと言うと電線は周囲温度が髙くなると最大許容電流は下がってくるので安全率0.8は余裕をみて選定した方がいいかと思います。
選定を間違えてしまうと燃えてしまう可能性もあるので十分注意してくださいね。

関連記事:『制御盤の仕組み!動力回路と制御回路の違いとは?』

低圧幹線の許容電流の計算方法

【低圧幹線の許容電流を求める条件】

LがIM以上の場合:IAはI+IL以上となる。

MがILより大きく、IMが50A以下の場合:IA1.25+IL以上となる。

MがILより大きく、IMが50Aを超える場合:IA1.1+IL以上となる。

【計算例①】

電動機の定格電流の合計が20Aで電動機以外の合計が50Aの時の低圧幹線の許容電流IAは?

IM(電動機の合計)がIL(電動機以外の合計)よりも小さいので下式になります。

20(IM)+50(IL)=70A・・・Aは70A以上となる。

【計算例②】

電動機の定格電流の合計が40Aで電動機以外の合計が30Aの時の低圧幹線の許容電流IAは?

IM(電動機の合計)がIL(電動機以外の合計)よりも大きくM50A以下なので下式になります。

1.25×40(IM)+30(IL)=80A・・・Aは80A以上となる。

低圧幹線の許容電流を選定する場合はこのように計算する必要があります。
1.25倍や1.1倍など計算が大変ですが、これは電動機の始動電流などを考慮して計算しています。

関連記事:『周波数の60Hzと50Hzの違いとは?またモータの電流値や回転速度、トルクはどうなるの?』

低圧幹線の過電流遮断器の選定方法

【低圧幹線の過電流遮断器の定格電流を求める条件】

M=0(電動機が接続されていない)場合はBがIA以下となる。

IM>0(電動機が接続されている)場合は3IM+ILまたは2.5IAのうち、いずれか小さい方以下となる。

この時IA100Aを超える場合は上記の値の直近上位の標準定格以下となる。

【計算例①】

電動機が接続されている場合でIA=120A、3IM+IL=130A、この時の過電流遮断器の定格電流Iは?

IM>0(電動機が接続されている)なので3IM+ILまたは2.5IAのうち、いずれか小さい方以下であるので130A以下となります。

ですが、この値が100Aを超えているので直近上位の標準定格以下と規定されているのでIBは130Aの直近上位の標準定格である150A以下となります。

【過電流遮断器の定格電流(A)】

15A、20A、30A、40A、50A、60A、75A、100A、125A、150A、175A、200A、225A、250A、300A、350A、400A、500A、600A

過電流遮断器の定格電流が低圧幹線の許容電流より大きいと低圧幹線に許容電流以上の電流が流れてしまった時に遮断することができません。
また、逆に過電流遮断器の定格電流が小さすぎると、接続できる負荷が小さくなってしまうので、このように規定されています。

関連記事:『配線用遮断器と漏電遮断器の違いや選び方を分かりやすく紹介』

低圧幹線分岐の遮断器省略

電気設備技術基準で定められている下記いずれかの条件を満たした場合、過電流遮断器を省略することができる。

①分岐した低圧幹線の許容電流が分岐元の低圧幹線の過電流遮断器の定格電流の55%以上(長さの制限なし)

②分岐した低圧幹線の許容電流が分岐元の低圧幹線の過電流遮断器の定格電流の35%以上であり、かつ分岐した低圧幹線の長さが8m以下

③分岐した低圧幹線の長さが3m以下であり、かつ負荷側に他の低圧幹線を接続しない(低圧幹線の許容電流の制限なし)

この条件で過電流遮断器を省略ができるのは分岐した細い幹線の電線が短絡した時に大元の過電流遮断器で細い幹線を保護できる範囲内ということです。
あくまで幹線の分岐した過電流遮断器省略で、間違えてはいけないのが、この分岐した細い幹線もどこかで負荷(分岐回路)に接続するのでその時には改めて過電流遮断器が必要となってくるわけです。

関連記事:『一般家庭の分岐回路とは?許容電流や電線の太さについてもわかりやすく説明!』

まとめ

配線設計は災害にならない為にも『内線規程』『メーカーのカタログ』で詳しく決められています。

基本はこのように計算して決めていくのですが、内線規程の簡易設計表をなどがあり、これを引用するだけで配線設計ができるのでとても便利ですよ。

下記に内線規程紹介しておきますね。↓

下記は内線規程の解釈が難しい初心者向けですよ↓

これから電験3種取得を考えている方におすすめ

テスターの使い方についてはこちら↓↓

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