周波数の60Hzと50Hzの違いとは?またモータの電流値や回転速度、トルクはどうなるの?

2024年3月22日

※当ブログではプロモーションが含まれます

周波数の60Hzや50Hzは地域によって異なり、60Hzと50Hzでモータの電流値や回転速度、トルクなども変わってきます。

ですので同じモータでもその地域で使用すると電流値が高くなったり、回転速度が早くなったり、トルクも強くなったりするわけです。

これがどのくらい変化するのか分からない方も多いかと思います。

今回はまずこの周波数の60Hzと50Hzの違いとはなんなのか?またどのようにモータに影響してくるかについてわかりやすく説明していきたいと思います。

⇒PLCやシーケンス制御、電気保全について私が実際使用して学んだものを『電気エンジニアが教える!技術を学べるおすすめ参考書』で紹介しているのでこちらもぜひご覧ください。

周波数とは?また60Hzと50Hzの違いとは?

【周波数】

1秒間に流れる電気が変化する回数のことで単位は『Hz(ヘルツ)』

わかりにくいと思うので下記の図で説明しますね。

一般家庭などのコンセントに使用されている電気は『交流』です。

交流の電気は定期的にプラスとマイナスが高速で何度も入れ替わり、電流の向きが交互になります。

周波数とはこの『入れ替わる回数』のことです。

60Hzの場合⇒1秒間に1サイクルの波が60回発生

50Hzの場合⇒1秒間に1サイクルの波が50回発生

また、周波数は関東が50Hz関西が60Hzとなっているため、50Hzや60Hz専用の電化製品などを異なる周波数で使用するとモータの回転速度が変わったり、過剰に働いて火災の原因となる場合もあるので注意してください。

近年ではどちらも使用できる電化製品が増えていますが、まだ中には専用の物があるのでよく確認して使うようにしてください。
では周波数が変わるとモータの回転速度や電流値、トルクはどのように変わっていくか説明していきますね。

関連記事:『『交流(AC)電源』『直流(DC)電源』を初心者向けに丁寧に解説!』

50Hzと60Hzでのモータ回転速度、電流値、トルクはどうなるの?

定格回転速度・・・50Hzより60Hzの方が回転速度は上がる

定格電流・・・50Hzより60Hzの方が電流は下がる

定格トルク・・・50Hzより60Hzの方がトルクは下がる

50Hzと60Hzでは上記のように3つの違いがあります。
わかりやすく順番に紹介していきますね。

定格回転速度について

標準モータの回転速度は負荷トルク、電源周波数、極数により変化します。

下記の公式を参考にしてみてください。

上記のように回転速度はモータの極数、周波数、負荷トルクの大きさにより、『すべり』も影響してくるわけです。

一般的に定格トルクで運転した場合は3~5%となっています。

この負荷トルクが大きくなる(過負荷)と『すべり』も大きくなります。

例えば 

極数4P、50Hzの場合:120×50Hz÷4P=1500[r/min]停止している状態で、実際の回転している状態では『すべり』を計算して、1420[r/min]となります。

では結果このように計算して50Hzと60Hzの地域ではどのぐらいの差になるか?

【50Hzの場合】

・定格速度・・・1420[r/min]

【60Hzの場合】

・定格速度・・・1710[r/min]

どうでしょうか?けっこう回転速度の差がありますよね。
このぐらいの違いだと専用の物だと壊れやすくなったりするのがわかるかと思います。

関連記事:『電気を理解するには最も基本的な電圧、電流、抵抗の理解が必要不可欠。分かりやすく解説!』

定格電流について

モータの定格電流は回転速度が低いほど、すなわち、『すべりが大きい』ほど大きな電流が流れます。

すべり0の時の電流が無負荷電流で、小容量の標準モータでは定格電流の50%程度となることもあります。

【50Hz、60Hzでの負荷トルク、モータ回転速度、モータの定格電流の関係】

【50Hz】負荷トルクが大きい⇒モータ回転速度は小さくなる⇒モータの定格電流は大きくなる

【60Hz】負荷トルクが小さい⇒モータ回転速度は大きくなる⇒モータの定格電流は小さくなる

ではモータ3.7KWの場合を例として50Hzと60Hzの地域ではどのぐらいの差になるか?

【50Hzの場合】

・定格電流・・・14.6A

【60Hzの場合】

・定格電流・・・14.2A

ちなみにインバータなどは周波数が下がると電流値が上がってしまうため、電圧も同じように下げていき、この電流値が上昇しないようにしていますよ。

関連記事:『電力、電力量、熱量とは?違いについてもしっかり覚えよう!』

定格トルクについて

標準モータの発生する『力』をトルクといいます。

モータ定格トルクの値は下記の式で計算できます。

例題として3.7kW 4P 定格回転速度1710[r/min]の定格トルクTは?

定格トルクTM=9550×3.7/1710=20.7[N・m]となります。

ではモータ3.7KWの場合を例として50Hzと60Hzの地域ではどのぐらいの差になるか?

【50Hzの場合】

・定格トルク・・・24.9[N・m]

【60Hzの場合】

・定格トルク・・・20.7[N・m]

定格トルクは50Hzの方が20%ほどアップしています。


ですので50Hzの方がモータ回転速度が低くなるが、定格トルクは逆に大きくなるということです。

また電流値も大きくなり、標準モータの温度上昇も60Hzに比べると高くなります。

このようにモータの回転速度は下がっているのに、電流値は高くなってしまうので、50Hzの場合は負荷を少し軽減して使用した方がいいですよ。

まとめ

今回の50Hzと60Hzについて3.7kWのモータを例にして表にまとめておきますね。

電 源定格電流[A]定格回転速度[r/min]定格トルク[N・m]
200V 50Hz14.6142024.9
200V 60Hz14.2171020.7
これから電験3種取得を考えている方におすすめ

こちらも一緒にチェック↓