端子台の接触不良で電線が焦げるのはなぜ?接触面積、接触抵抗、発熱の関係について解説!

2022年6月29日

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工場で制御盤の中を見てみると端子台で電線が焦げている状態をたまに見ることがあります。

焦げている状態をそのまま放っておくと発火事故などが起こる可能性があるため、早めに交換しなければいけません。

今回はこの端子台での接触不良で焦げがなぜ起こるかについて解説していきたいと思います。

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端子台の接触不良とは?

端子台の接触不良とは下記のような状態です。

端子台の締め忘れや、ネジがゆるんできたりすると上記のように圧着端子の接触面積が小さくなってしまいます。

圧着端子の接触不良により、このように接触面積が小さくなり、また『接触抵抗も変化』するわけです。
では接触抵抗はどうなるかについて説明していきますね。

関連記事:『電気を理解するには最も基本的な電圧、電流、抵抗の理解が必要不可欠』

接触面積と接触抵抗の関係

【接触面積と接触抵抗の関係】

・接触面積が小さくなるほど接触抵抗は大きくなる

・接触面積が大きくなるほど接触抵抗は小さくなる

この2つの関係は導体の抵抗『R=ρ×L/A[Ω]』の式で確認すると『A』が面積なので『抵抗は面積に反比例』しているのが分かるかと思います。

ですので端子台のネジが緩んでいる場合などは接触不良となり、接触している面積が小さくなるので、結果、接触抵抗が大きくなるのです。

接触不良により接触抵抗が大きくなっていくのがわかっったかと思うので次はその接触抵抗が大きくなるとどうなっていくか説明していきます。

関連記事:『電力、電力量、熱量とは?違いについてもしっかり覚えよう!』

接触抵抗が大きくなるとどうなるの?

接触抵抗が大きくなると、ジュール熱により発熱してしまいます。

【ジュール熱】

抵抗がある導体に電流を流した時に生じる発熱のこと

通常金属同士の接触抵抗はごくわずかですが、接触不良により接触抵抗が大きくなり、その部分に電流が流れることで『P=I²R[W]』の発熱が生じます。

この発熱をそのまま放置しておくと温度上昇が大きくなり、発火する可能性が高くなってしまいます。

基本、端子部分(ネジ)をしっかり締めておけば接触抵抗は大きくならないので異常発熱が起こることはありません。

ですが、発熱により伸縮を繰り返したり、振動が大きい場所ではネジがゆるんでしまう場合もあるので定期的に増し締めはするようにしておきましょう。

また他にも接触抵抗が大きくなると、その部分の電圧も大きくなるので負荷側の電圧不足といった『電圧降下』が発生する原因にもなるのでネジの緩みには十分気をつけるようにしてくださいね。

関連記事:『電圧降下とは何?原因や対策など実際の現場で起こった事例も交えて説明!』

まとめ

接触不良

端子台部分などでネジのゆるみや締め忘れなどで接触する面積が小さくなる

接触面積と接触抵抗の関係・・・R=ρ×L/A[Ω]⇒抵抗は面積に反比例

・接触面積が小さくなるほど接触抵抗は大きくなる

・接触面積が大きくなるほど接触抵抗は小さくなる

異常発熱による発火

接触不良により接触抵抗が大きくなり、その部分に電流が流れることで『P=I²R[W]』の発熱が生じ、そのまま放置しておくと温度上昇が大きくなり、発火する可能性が高くなる

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