シングルソレノイドバルブとダブルソレノイドバルブの違いとは?ラダー図も使って説明!

2024年11月18日

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シングルソレノイドバルブとダブルソレノイドバルブの違いについて理解されているでしょうか。

この2つは工場の生産現場では必ずといっていいほどよく使われているので動きをよく知っておかなければいけません。

動きを知っておかないと、電源を切ると同時に動き出し、怪我になる可能性もあります。

今回はこのシングルソレノイドバルブとダブルソレノイドバルブの違いについて、またラダー図も使って詳しく説明していきたいと思います。

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ソレノイドバルブとは何?

ソレノイドとは電磁石のことで、コイルに通電すると磁力を発生し、吸引力で弁を切換えます。

このような切換える方向制御弁を『電磁弁』または『ソレノイドバルブ』と呼ばれます。

この中で5ポート電磁弁を使い、複動シリンダーの作動切替えに用いられる方向制御弁の基本が『シングルソレノイドバルブ』『ダブルソレノイドバルブ』の2つとなっています。

※ポート数⇒配管接続口の数

※複動シリンダー⇒エア圧をかけるポートが2つあり、それぞれ『給気』と『排気』を切換えることでロッドを押したり、引いたりするシリンダー

電磁弁の種類はいろいろありますが、今回は特に工場でよく使用されているこの2つについて詳しく説明していきますね。

関連記事:『リレー仕組み徹底解説!基本動作教えます』

シングルソレノイドバルブの動作

【シングルソレノイドバルブ】

1個のソレノイド(電磁石)を使用し、弁を切換える方式のこと

下記がシングルソレノイドバルブのON状態の動作説明です。

【ON状態の動作説明】

ソレノイドのコイルに通電(ON)⇒可動鉄心が引き寄せられ弁が切換わる⇒1(P)から4(A)に圧縮空気が供給⇒シリンダーが前進⇒2(B)から3(R)に圧縮空気を排気

下記がOFF状態に切替わった時の動作説明となります。

【OFF状態の動作説明】

ソレノイドのコイルを非通電(OFF)⇒切換えた弁がスプリングやエアでノーマル位置(元位置)へ戻る⇒1(P)から2(B)に圧縮空気が供給⇒シリンダーが後退⇒4(A)から5(R)に圧縮空気を排気

注意点としてシングルソレノイドバルブは通電時(ON)の間だけ弁が切換わり、停電時にはOFFとなるので気をつけるようにしましょう。
詳しくは下記の記事に載せているので参考にしてみてくださいね。

関連記事:『シングルソレノイドバルブ(電磁弁)は電源投入、停電時の動作に注意!ラダー図(PLC)での対策方法!』

ダブルソレノイドバルブの動作

【ダブルソレノイドバルブ】

2個のソレノイド(電磁石)を使用し、交互に弁を切換える方式のこと

下記がダブルソレノイドバルブのA側がON状態の動作説明です。

下記がA側ONの状態からOFFとした場合の動作説明です。

下記がB側をONにした場合の動作説明となります。

【動作説明(A側がONの場合)】

A側のソレノイドのコイルに通電(ON)⇒A側の可動鉄心が引き寄せられ弁が切換わる⇒1(P)から4(A)に圧縮空気が供給⇒シリンダーが前進⇒2(B)から3(R)に圧縮空気を排気

【動作説明(A側がON⇒OFFの場合)】

弁が切換わらずにそのままの状態となる

【動作説明(B側がONの場合)】

B側のソレノイドのコイルに通電(ON)⇒B側の可動鉄心が引き寄せられ弁が切換わる⇒1(P)から2(B)に圧縮空気が供給⇒シリンダーが後退⇒4(A)から5(R)に圧縮空気を排気

ダブルソレノイドバルブはシングルソレノイドバルブのように、OFF状態になった場合でもスプリングやエアでノーマル位置(元位置)に戻らないので停電などでも弁が切換わってしまうことがありません。

このようにダブルソレノイドバルブは弁が切換われば非通電にしてもその状態のままとなります。
ではラダー図を使うとどのような回路になるか説明していきますね。

関連記事:『シーケンス制御で使用するa接点、b接点、c接点とは?違いや記号についても詳しく説明!』

ラダー図を使ってシングルソレノイドバルブを動作させる方法

下記がラダー図を使ってシングルソレノイドバルブを動作させた回路となります。

シングルソレノイドバルブをラダー図で動かす時は単純にA回路でいいのですが、前進SW(X0)を押している間だけ前進となるので保持させたい場合にはずっと押しておかなければいけません。

B回路だと前進SW(X0)を1度押すとシリンダーが前進となり、自己保持回路となるので前進SWを離してもシリンダーは前進したままとなります。

後退させたい時には後退スイッチを押すことで自己保持回路が切れてシリンダーが後退します。

このようにシングルソレノイドバルブはONしている間だけの動作となるので動作したままにしたい場合には『自己保持回路』または『SET命令』を使うようにしてくださいね。

関連記事:『PLCで使用するOUTとSET・RSTの違いとは?また停電保持回路での使用例ついても紹介!』

関連記事:『【シーケンス制御の基本】自己保持回路とは何?動作順序をつくるには組み合わせるだけ!?初心者向けに解説!』

ラダー図を使ってダブルソレノイドバルブを動作させる方法

下記がラダー図を使ってダブルソレノイドバルブを動作させた回路となります。

ダブルソレノイドバルブでA回路の場合、前進SWを押すとシリンダが前進し、前進SWを離しても前進したままとなります。

A回路の動作で問題はないのですが、ダブルソレノイドバルブは『動作時間』が短いと完全に切り替わらない場合があります。

そのような不具合を起こさないためにはタイマを使い動作時間を確保するか、B回路のように『自己保持回路』または『SET命令』にしておいた方が動作は確実です。

前進SWを押すと自己保持回路となり、SWを押す時間に関係なく動作時間を確保できます。

B回路では前進と後退が同時にONとならないように『インターロック』を入れておかないといけないので注意してくださいね。
インターロックについては下記の記事に詳しく載せているので参考にしてみてください。

関連記事:『シーケンス制御のインターロック回路とは?シーケンス図やラダー図を使ってわかりやすく紹介!』

まとめ

✔シングルソレノイドバルブ

・1個のソレノイド(電磁石)を使用し、弁を切換える方式のこと

・通電時(ON)の間だけ弁が切換わるので停電時には非通電(OFF)となり、スプリングやエアでノーマル位置(元位置)に戻るので注意が必要

ダブルソレノイドバルブ

・2個のソレノイド(電磁石)を使用し、交互に弁を切換える方式のこと

・弁が切換われば非導通にしてもその状態のままとなる

・通電(ON)時間が短いと完全に切り替わらない

以上。

複動シリンダーを動かす場合は主にこの2つの方式が使われるかと思うので間違わないようにしっかり動作を覚えておきましょう。

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