フェイルセーフとフールプルーフって何?違いについて
設備保全の仕事をしていると『フェイルセーフ』と『フールプルーフ』って言葉をよく聞く方も多いのではないでしょうか。
どちらも事故を防止するために必要なことなので設計する段階で考慮していかなければいけません。
今回はフェイルセーフとフールプルーフとは何か?また、事例なども交えて紹介していきたいと思います。
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フェイルセーフとは
フェイルセーフとは製品やシステムが故障あるいはエラーが発生しても、常に安全側に動作するようにすることをいいます。
要するに機械の故障や誤作動などが生じた時に安全側に向かうように設計されている仕組みのことで事故を防止するためにとても重要です。
フェイルセーフの事例について実際、生産設備ではどのようなものがあるのか紹介していきますね。
生産設備でのフェイルセーフ事例について
①非常停止回路
非常停止回路とは作業者が何らかの異常を感知した時に直ちに機械の運転を停止させる回路のことです。
作業者の安全を確保するために必要なフェールセーフの考え方となります。
しかし、注意点としてこの非常停止ボタンの接点をa接点にしていると断線した場合に非常停止ボタンを押しても緊急停止させることができません。
必ずフェイルセーフの観点から非常停止の接点はb接点で接続するようにしましょう。
参考記事:『非常停止回路はb接点を使う!?その理由は?シーケンス図とラダー図を使って紹介!』
②行き過ぎ防止用の回路
機械装置があらかじめ決まった位置より行き過ぎないようにした回路となります。
動作としては機器自体の故障などにより機械装置が行き過ぎた場合、機械の破損を防止するためにリミットスイッチなどを設置し、反応することで機械を自動停止させるようになっています。
このリミットスイッチの接点も前述で紹介した非常停止回路と同じようにb接点を使うようにしましょう。
参考記事:『マイクロスイッチとリミットスイッチは違うの?特徴、使用例、記号について』
フールプルーフとは
フールプルーフとは人が間違った使い方をしても危険な状態(動作)とならないように、あるいはそもそも間違った使い方ができないように設計することです。
人は集中力低下などでどうしても操作ミスをしてしまうことがありますが、そのような場合でも危険とならないように安全が確保されるようにしたものです。
フールプルーフは操作する人のことを考えた設計となります。
では生産設備でフールプルーフはどのようなものがあるのかを紹介していきますね。
生産設備でのフールプルーフ事例について
①押しボタンの両手操作
両手で操作しないと機械が作動しないようになっています。
なぜかというと、片方の手で材料を押さえた状態でもう片方の手で作動させてしまうと、何かしらの原因で機械に手を挟んでしまったなんてこともあります。
そのような危険な状態とならないように必ず両手が安全な位置にくる両手操作をするようにしています。
②固定ガード
固定ガードは機械に接触しないように固定具、又は溶接などで固定し確実に保護するカバーとなります。
開口部から加工物・工具等は入るが、手は危険領域に届かないようにすることで危険な状態とならないようにしています。
③安全装置によるインターロック回路
機械の運転中に作業者が危険領域内へ侵入するのを防止するための回路となります。
内容としては自動運転中、機械装置内に入ってしまうと危険なので侵入した時にはセンサーが反応し、機械を自動で停止するように設計したものとなっています。
また、危険域に入ったままだと機械は起動しないようになっています。
参考記事:『センサのライトオン(Light on)とダークオン(Dark on)について』
まとめ
✔フェイルセーフ
製品やシステムが故障あるいはエラーが発生しても、常に安全側に動作するようにすること
✔生産設備でのフェイルセーフ事例
・非常停止回路
・行き過ぎ防止用回路
✔フールプルーフ
人が間違った使い方をしても危険な状態(動作)とならないように、あるいはそもそも間違った使い方ができないように設計すること
✔生産設備でのフールプルーフ事例
・押しボタンの両手操作
・固定ガード
・安全装置によるインターロック回路
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