非常停止回路はb接点を使う!?その理由は?シーケンス図とラダー図を使って紹介!

2024年3月3日

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非常停止回路は『人』と『設備』を守る為必ず必要となります。

人が危険を感じ、非常停止ボタンを押しても、緊急停止とならなかったなどあってはなりません。

そうならないように今回は非常停止回路をシーケンス図とラダー図を使ってどのように作成するか、また注意点など紹介していきたいと思います。

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非常停止ボタンとは?b接点を使う!?

【非常停止ボタン(スイッチ)】

生産現場で人の安全や設備の健全性を守るために機械設備を緊急停止させるスイッチのこと

【主に使用される非常停止ボタンの種類】

・プッシュロックターンリセット・・・ON状態を保持し、ボタンを回すことで解除

・プッシュプル・・・押せばON状態となり、解除はボタンを引き上げることで押されたボタンを戻す

押しボタンにはa接点(NO:ノーマルオープン)b接点(NC:ノーマルクローズ)タイプがあり、非常停止回路では『b接点(NC:ノーマルクローズ)』を使うと覚えておいてください。

この理由としては、a接点(NO)の場合、押して接点が閉じた時に非常停止させますが、もしこの時に『接点の間にゴミ』『電線が断線』している場合などは押しても接点が閉じないので非常停止をかけることができません。

b接点の場合は、押した時に閉⇒開にすることで非常停止をかけるようになっています。

下記がb接点を使って、非常停止ボタンを押した時の状態となります。

b接点の通常状態では接点が閉じた状態のため、接点の間にゴミは入らず、また電線が断線した時も押した時と同じ、電流が遮断されるので非常停止がかかる状態となります。

このようにa接点の場合、非常停止がかからない不具合が発生する可能性があるので、安全面を考慮すると、b接点の方が望ましいことがわかるかと思います。

関連記事:『シーケンス制御で使用するa接点、b接点、c接点とは?違いや記号についても詳しく説明!』

シーケンス図での非常停止回路例の紹介

下記がシーケンス図での非常停止回路例です。

非常停止回路は運転中に何らかの異常が発生した場合、人の安全、設備の保護を目的としているので、『すべての動作に優先』し、ただちに停止しなければいけません。

【動作】

回路起動MC1(電磁接触器)のコイルをON⇒『動力回路(主回路)』と『制御回路』が動作可能⇒運転。

この状態で非常停止ボタンを押すと、MC1(電磁接触器)のコイルがOFF⇒『動力回路(主回路)』と『制御回路』が動作不可能⇒停止。

非常停止回路は上記のように必ず、すべての動作が遮断となるように設計してください。
重要なのでわからなければ、詳しい方に相談しながら行うようにしてくださいね。

関連記事:『制御盤の仕組み!動力回路と制御回路の違いとは?』

ラダー図での非常停止回路例の紹介

下記がラダー図での非常停止回路例です。

回路起動M1を次のステップの先頭に入れておくことで、回路起動M1が閉となった時だけ動作を開始することができるようにしています。

この状態で非常停止ボタンX0を押すと、先頭M1の接点が開となるので、すべての動作が停止となります。

その他、注意点として、非常停止ボタンはb接点でPLC(シーケンサ)の方に接続されているので、ON状態ということに注意してください。

上記のラダー図ではa接点にすることでON状態となります。

ちなみに複数の非常停止を接続する場合は直列(AND)で接続するのが一般的な使い方となります。
直列(AND)についてわからないようであれば下記の参考にしてみてくださいね。

関連記事:『シーケンス制御の基本回路はAND回路とOR回路とNOT回路の3つ!?詳しく解説!』

まとめ

●非常停止についてのまとめ

⇒生産現場で人の安全や設備の健全性を守るために機械設備を緊急停止させるスイッチのことで主に使用される種類として『プッシュロックターンリセット』『プッシュプル』がある。

⇒非常停止回路ではa接点の場合、非常停止がかからない不具合が発生する可能性があるので、安全面を考慮すると、『b接点(NO:ノーマルクローズ)』の方が望ましい。

⇒非常停止回路はすべての動作が遮断となるように設計する。

以上。

非常停止回路は人の安全や設備の健全性を守るためのものです。

いざ設備を緊急停止させる場合に停止できなかったでは人も設備も守ることができません。

非常停止回路を設計した場合、必ず動作確認を行い、すべての動作に優先となっているのをよく確認してから使用するようにしましょう。

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