シーケンス制御回路でトラブル!?テスタを使って不具合箇所を特定する方法!
シーケンス制御回路で、特に古い機械などを使用している場合はよくトラブルが頻繁に発生してしまいます。
シーケンス制御回路でトラブルが発生した場合は基本テスタを使用して原因を特定していくのですが、実際に作業を行っていないとわかりづらいですよね。
ですので今回はシーケンス制御回路でトラブルが発生した時にテスタをどのように使い、原因を特定していくか解説していきたいと思います。
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トラブル発生状況の説明
下記がトラブルとなったシーケンス制御回路です。
【動作説明(正常時)】
回路起動入PBをON⇒リレーRのコイルがON⇒R-aの接点が閉じて自己保持⇒同時にもう1つのR-a接点が閉じて制御回路起動⇒スタートPBをON⇒MCのコイルがON⇒モータ運転開始⇒同時にMC-a接点が閉じて自己保持となる
AC200V回路でモータを運転する制御回路ですが、トラブルとなった状態は、スタートPBを押してもモータが運転となりませんでした。
このような簡単な制御回路でトラブルとなった場合でも、テスターを使わないとなかなか原因特定できません。
関連記事:『テスターの使い方!実際現場でどのように使われているかを分かりやすく解説』
テスターで順番に電圧を測定していく
シーケンス制御回路で動作しない場合はテスターでどこまで電圧があるか確認をします。
その前に電圧測定方法があまり分からない方の為に簡単に測定方法を載せておきますね。
交流電圧測定は上記のように測定すればテスターのメーターが触れて電圧が測定できます。(AC200Vの場合はAC200Vの値にメーターが触れる)
それではまず、スタートPBを押してもモータが運転とならないので順番に電圧測定していきましょう。
まず下記のようにテスターのリード線は一番下の電源線に接触させておいて、もう片方を順番に接触させていきます。
スタートPBをONにしても運転がかからないのでスタートPBより上側に電圧がきているか順番に確認していきます。
結果、①と②には電圧がきていませんでした。
電圧がきていないので、次にRのコイルがONしているか下記のようにRコイル上側から順番にテスターで測定していきます。
電圧を順番に測定していった結果、⑤でAC200Vの電圧がありました。
ではこの結果からどんなことがわかるか説明していきますね。
関連記事:『【シーケンス制御の基本】自己保持回路とは何?動作順序をつくるには組み合わせるだけ!?初心者向けに解説!』
測定結果からわかるトラブル原因は?
【トラブル原因】
回路起動切ボタンの接点不良が起こっていた
【原因を特定するまでの経緯】
④まで電圧がなかった状態で、⑤測定時AC200Vの電圧が出たのでその間で電圧が出ないトラブル原因があるということになります。
その間には回路起動切ボタンがあるので接点不良の可能性が高いです。
次により確実に確認する為、接点に導通があるかテスターで下記のように確認します。
※導通測定時は必ず電源OFFにして測定する事。
b(NC)接点に接続しているので導通測定した場合、正常時で針が右に振れなければいけませんが、この時には導通がありませんでした。
【結果】⇒押しボタンの接点が不良となり、導通が出ていなかったので新しく交換しました。
電圧測定+導通測定をすればより確実にトラブル箇所がわかりますよ。
関連記事:『シーケンス制御で使用するa接点、b接点、c接点とは?違いや記号についても詳しく説明!』
まとめ
シーケンス制御回路でトラブルが発生した場合は、接点不良だけなら電圧測定だけでも不具合箇所がわかるのですが、配線がたくさん分かれていてその1本が断線している場合などの時は導通測定した方がわかりやすいかと思います。
ですので、まずは電圧測定で大体の不具合箇所を特定して、あとは電圧測定で特定しにくい箇所は導通測定していくようにしてください。
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