電圧降下とは何?原因や対策など実際の現場で起こった事例も交えて説明!
電気の勉強をしているとよく電圧降下って聞くことがあるかと思います。
電圧降下になるとどうなるのか?また、どのような原因で電圧降下となるのか?勉強はしていましたが、実際よく分からない人も多いのではないでしょうか。
今回は実際の現場で起こった事例も交えながらわかりやすく説明していきたいと思います。
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電圧降下とは何?なぜ起こるの?
【電圧降下】
電圧を印加したケーブルや電線において、末端になるに従って電圧が低くなる現象
この電圧降下がなぜ起こるかと言うと、電線やケーブルなどにはわずかな抵抗があり、『分圧』されるので抵抗負荷にかかる電源電圧は下がってしまいます。
分かりにくいかもしれないので下記の電気図で説明しますね。
・下記が電線の抵抗を求める公式です。
【電線の抵抗の求め方】
・R=(ρ・L)/A[Ω]
R:抵抗[Ω]
ρ:抵抗率[Ω・m]
L:電線の長さ[m]
A:電線の断面積(太さ)[m²]
このように電線やケーブルにはわずかな抵抗があります。
上記の公式を参考にすれば分かりやすいと思いますが、電線やケーブルの太さが太いほど抵抗値は小さくなり、逆に細いほど抵抗値は大きくなります。
また、大きな電流を流すのに小さな電線だと電気抵抗が大きくなり、熱が発生し、高温になった電線はより電圧降下が大きくなってしまいます。
場合によっては電線が燃えてしまう恐れもあるのでサイズ選びには注意するようにしましょう。
関連記事:『電線の種類やサイズの選び方!またブレーカ容量の決め方など詳しく説明!』
電圧降下の求め方と許容範囲
電圧降下の求め方は大電流を扱う場合などはリアクタンス分や抵抗などを使用した式が必要となりますが、屋内配線など小さな電流を扱う場合などは下記の簡略式を利用すれば簡単に求められますよ。
【単相2線式の電圧降下】(線間)
e=35.6×L×I/1000×S
【三相3線式の電圧降下】(線間)
e=30.8×L×I/1000×S
【単相3線式の電圧降下】(大地間)
e’=17.8×L×I/1000×S
※S=電線の導体断面積(mm²) L=電線の長さ(m) I=電流(A)
また、電圧降下もどのぐらいまでなら下がってもいいというのが、内線規程で定められています。
以下が内線規程による電圧降下の許容される範囲となります。
供給変圧器の2次側端子又は引込線取付点から最遠端の負荷に至る間の電線のこう長(m) | 電気使用場所内に設けた変圧器から供給する場合 | 電気事業者から低圧で電気の供給を受けている場合 |
60m以下 | 幹線:3%以下 分岐回路:2%以下 | 幹線:2%以下 分岐回路:2%以下 |
60m超過~120m以下 | 合計5%以下 | 合計4%以下 |
120m超過~200m以下 | 合計6%以下 | 合計5%以下 |
少し分かりにくい方もいるかもしれませんが、要するに『一般用電気工作物』と『自家用電気工作物』で分かれているということですね。
私の工場を例にすると受電設備変圧器⇒分電盤⇒負荷の順番に供給されるので受電設備変圧器から分電盤までが3%、分電盤から負荷が2%となります。
ちなみに法規の問題でよく出る101±6V、202±20Vですがこれは電力会社側に求められているもので受電設備までとなるので覚えておいてくださいね。
関連記事:『電験3種取得はメリットだらけ!?おすすめする理由』
実際の現場で起こった電圧降下の事例
実際の現場で起こった事例としては、100Vで動作する負荷がまったく動作しなかったので、調べていくと原因はブレーカの1次側の電源が40Vの電圧しかありませんでした。
下記が電圧降下箇所の部分です。
前述で説明した通り、電線に傷などがあった場合、その部分は電気的抵抗値が高くなり、異常発熱が発生し、電圧降下の原因となるのです。
対策としては、電線の傷ついている箇所が分かるようならその部分を接続し直さなければいけません。
ここで注意しなければいけないのが接続し直す場合は配線途中で接続点を設けてはいけないことになっているので、必ずボックスを設けてその中で接続するようにしてください。
これは法で定められているのできちんと守ってくださいね。
傷の箇所が分からなければ、電線をすべてやり直してください。
大変ですけどその方が早いですからね。
関連記事:『電気を理解するには最も基本的な電圧、電流、抵抗の理解が必要不可欠。分かりやすく解説!』
まとめ
【電圧降下まとめ】
・電線が細いほど電圧降下が大きくなる
・電線が長いほど電圧降下が大きい
・使用電流が多いほど電圧降下が大きい
現場にて電圧降下となっている場合はこのような原因となっていることが多いのでぜひ参考にしてみてくださいね。
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