渦巻ポンプで水を吸い上げない?原因と対処法について
ビルや工場など様々な場所で渦巻ポンプは使用されているかと思います。
この渦巻ポンプのトラブルとして吸い上げが悪く水の供給量が少ない、また全く吸い上げなくなるといった動作不良を起こす場合などよくあります。
その時に、基本知識がないとどのような原因で吸い上げが悪くなっているのか特定することもできません。
今回は実際に吸い上げが悪くなった時の原因や対処法について紹介していきたいと思います。
⇒機械保全について私が参考にしたものを『【実践向け】機械の保守・保全作業が学べるおすすめの本』で紹介しているのでぜひこちらもご覧ください。
渦巻ポンプとは
【渦巻ポンプ】
ケーシング内で羽根車を回転させ、その遠心力により液体を吸い上げ、上の液槽に押し上げるポンプのこと
渦巻ポンプはターボ形ポンプの一種でボイラーの給水用、上下水道用、排水用など一般的によく使用されています。
動作としてはケーシング内の羽根車に液体を流し回転させることで液体に遠心力が作用⇒圧力発生⇒液体が汲み上げられます。(20m以下の比較的揚程の低い設備で使用)
運転時の注意点として渦巻ポンプは吸い込み側のエアー噛みによるトラブルとなることが多いので、始動時に呼び水(ポンプ内を水で満たす)をしておく、またエアー抜きより水が出ることを確認してから運転するようにしましょう。
水の吸い上げが悪くトラブルとなった状況と考えられる原因
【水の吸い上げが悪くトラブルとなった状況】
・運転始めの水を満たした状態では正常動作しているが時間が経つと水を吸い上げなくなる。
【水を吸い上げなくなる主な原因】
・ケーシング内の羽根車に異物が付着している。
羽根車の異物が付着していると水がうまく流れていかず、また流れても圧力が上がらないといったトラブルとなりやすいので異物の除去、掃除をする。
・吸い込み側の配管バルブが閉まっている。
吸い込みバルブが閉まっている、または少ししか開いていないなどの場合もあるのでよく確認をする。
・吸い込み側の配管に異物が付着して閉塞している
吸い込み配管に異物が付着しているとうまく揚水しないので確認をして異物があるようなら除去する。
・フート弁不良により水が落ちてしまい空運転となっている。
フート弁不良となっている場合にはケーシング内から水が落ち、空運転となり流れていかないのでフート弁の破損、パッキン不良、異物などがないか確認する。
・吸い込み側の配管ボルトの緩みやパッキン不良などによりエアー噛みが発生している
ボルトの緩みやパッキン不良がある場合にはその部分よりエアー噛みとなり圧力不足などが発生しやすいので確認する。
このように吸い上げが悪くなる原因の多くは『吸い込み側の配管』に問題があることが多いので吸い込み側をよく確認するようにしましょう。
トラブルとなった原因と対処法
【原因結果】
フート弁の不良により水の吸い上げが悪くなっていた。
※フート弁とは・・・ポンプが停止しても配管内の水が落ちてしまわないように逆流防止構造となっている弁のこと
運転始めの水を満たした状態では正常に動作していることからポンプ停止時の水の逆流を疑い、フート弁を確認すると異物により弁が閉まりきらずに水が漏れ、逆流していることがわかりました。
フート弁を取り外し清掃⇒その後にポンプ内を水で満たし再度漏れがないか確認⇒問題なかったのでエアー抜きを行い運転開始。
ちなみにポンプによっては呼び水不要の場合もあるのでよく確認して行ってくださいね。
まとめ
✔渦巻ポンプ
ケーシング内で羽根車を回転させ、その遠心力により液体を吸い上げ、上の液槽に押し上げるポンプのこと
✔水を吸い上げなくなる主な原因
・ケーシング内の羽根車に異物が付着している。
・吸い込み側の配管バルブが閉まっている。
・吸い込み側の配管に異物が付着して閉塞している
・フート弁不良により水が落ちてしまい空運転となっている。
・吸い込み側の配管ボルトの緩みやパッキン不良などによりエアー噛みが発生している
こちらも一緒にチェック↓