【第2種電気工事士】低圧幹線と分岐回路について

2022年4月12日

※当ブログではプロモーションが含まれます

低圧幹線とはどこからどこまでのことなのか?また分岐回路とはどこの部分を指しているのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。

この2つの違いについてしっかり区別しておかないと技術基準の解釈など理解できず問題を解くことも難しいのではないかと思います。

今回はこの低圧幹線と分岐回路について詳しく説明していきたいと思います。

これから電気工事士取得を考えている方におすすめ

低圧幹線とは

【低圧幹線】

引込口から分岐開閉器一次側までの配線のこと。(負荷を接続しない部分)

一般家庭用の分電盤で言えば引込口からコンセントや電灯などの負荷に繋がっている分岐ブレーカの一次側までの部分のことで、低圧幹線に直接負荷はつきません。

また、低圧幹線から別の分電盤にさらに分岐する部分も低圧幹線となります。

このさらに分岐した低圧幹線にも過電流遮断器を施設するようになっていますが、条件を満たすと省略できる場合もあるので後ほど説明していきますね。

関連記事:『【第2種電気工事士】遮断器の動作時間や極数(P)と素子数(E)について詳しく説明!』

低圧幹線の許容電流の求め方

・電動機以外の定格電流の合計より電動機の定格電流の合計が小さい場合(IM≦IL)

⇒IAIM+IL

・電動機以外の定格電流の合計より電動機の定格電流の合計が大きく、また電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合(IM>IL、IM≦50A)

⇒IA1.25IM+IL

・電動機以外の定格電流の合計より電動機の定格電流の合計が大きく、また電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合(IM>IL、IM>50A)

⇒IA1.1IM+IL

許容電流とは電線に流すことができる最大の電流のことで、電線には流すことができる許容電流が決まっているのでこの許容電流以上の電流を流してしまうと感電や火災などにつながる恐れがあります。

上記のように低圧幹線は負荷の定格電流の合計以上となり、また他に電動機を使用する場合だと始動時の電流が大きくなるのでその分安全を考慮した値となっているので覚えておきましょう。

過電流遮断器の定格電流の求め方

過電流遮断器の定格電流:IB

・電動機なし(IM=0)

IB≦IA

・電動機あり(IM>0)

3IM+ILまたは2.5IAのうち、いずれか小さい方以下

※この時IAが100Aを超える場合は上記の値の直近上位の標準定格以下

基本、低圧幹線に使用する過電流遮断器の定格電流が低圧幹線の許容電流以下となるが、電動機等が接続される場合は始動電流で遮断器が動作しないように上記のように技術基準で決められています。

低圧幹線から分岐する幹線に施設する過電流遮断器の省略

原則として分岐した低圧幹線にも過電流遮断器を施設する必要がありますが、以下の条件により過電流遮断器を省略することができます。

①分岐した低圧幹線の許容電流が分岐元の低圧幹線の過電流遮断器の定格電流の55%以上の場合(長さ制限なし)

②分岐した低圧幹線の長さが8m以下でその許容電流が分岐元の低圧幹線の過電流遮断器の定格電流の35%以上の場合

③分岐した低圧幹線の長さが3m以下であり、かつ負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合(低圧幹線の許容電流の制限なし)

分岐回路とは

【分岐回路】

分岐ブレーカ(開閉器)から負荷までの配線のこと

全部の負荷を1つにまとめてしまうと1台の負荷の異常ですべてが遮断となってしまう、また他にも定格容量の大きな過電流遮断器だと、コードが短絡した場合遮断せずに火災等の原因にもなってしまいます。

そのような理由から分けて(分岐して)電力供給を行うようにしています。

このように低圧幹線は分岐開閉器まで、分岐回路は分岐開閉器から負荷までの電路を過電流から保護するように規定されているので範囲をしっかり覚えておきましょう。

関連記事:『【第2種電気工事士】単相3線式で中性線が欠相(断線)すると電圧、電流値はどうなるの?詳しく説明!』

分岐回路の種類

分岐回路の種類漏電遮断器の定格電線の太さ(直径)とMIケーブルの断面積接続してよいコンセントの定格電流
15[A]分岐回路15[A]配線用遮断器またはヒューズ直径1.6[mm]以上
断面積1[mm²]以上
15[A]以下
B20[A]分岐回路20[A]配線用遮断器直径1.6[mm]以上
断面積1[mm²]以上
20[A]以下
20[A]分岐回路20[A]ヒューズ直径2.0[mm]以上
断面積1.5[mm²]以上
20[A]
30[A]分岐回路30[A]配線用遮断器またはヒューズ直径2.6[mm]以上
断面積2.5[mm²]以上
20[A]以上
30[A]以下

分岐回路は上記のように種類があり、過電流遮断器、コンセントの定格電流、電線の太さなどが決められています。

分岐回路の過電流遮断器取り付け位置

低圧分岐回路には低圧幹線との分岐点から3[m]以下の所に開閉器および過電流遮断器を施設することが原則になっていますが下記の場合は3[m]をこえて設置することができます。

①分岐した電線の許容電流が、幹線の過電流遮断器の定格電流の55%以上ある場合は、分岐点からの距離に関係なく施設できる。

②分岐した電線の許容電流が、幹線の過電流遮断器の35%以上ある場合は分岐点から8[m]以内に施設できる。

まとめ

✔低圧幹線

・引込口から分岐開閉器一次側までの配線のこと。(負荷を接続しない部分)

・低圧幹線から別の分電盤にさらに分岐する部分も低圧幹線となる

・分岐した低圧幹線にも過電流遮断器を施設する必要があるが条件により過電流遮断器を省略することができる

✔分岐回路

・分岐ブレーカ(開閉器)から負荷までの配線のこと

・低圧分岐回路には低圧幹線との分岐点から3[m]以下の所に開閉器および過電流遮断器を施設することが原則になっていますが条件により3[m]をこえて設置することができる

これから電験3種取得を考えている方におすすめ

こちらも一緒にチェック↓